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加速度センサーで距離を推定する

ハウスローバーにとって、走行距離の計測は重要な項目です。 最も基本的な方法は、車輪の回転を検知することですが、車輪のスリップや障害物の影響などを受ける方法でもあります。 今回は、加速度センサーを使用し、その測定値の信頼性を検証します。

MPU-9150 9軸センサーモジュール

MPU-9150 9軸センサーモジュール

MPU-9150は、加速度センサー、ジャイロセンサーと電子コンパスまで付いた、お得感たっぷりのモジュールです。 加速度センサーによる距離測定がものになれば、ジャイロセンサーも統合できますので、何かと便利です。

実験用のプログラムは、ジャイロセンサーの角速度から角度を算出したものを応用し下記の通りとしました。

事前にセンサー値を複数回読み取り補正値を算出 → 計測開始 → 加速度を算出 → 加速度を積算し速度を算出 → 速度を積算し距離を算出  という流れです。

#include <stdio.h>
#include <wiringPiI2C.h>

#define MOTOR1 22           // GPIO22
#define MOTOR2 23           // GPIO23
#define MOTOR3 24           // GPIO24
#define MOTOR4 25           // GPIO25

int main(int argc, char **argv)
{
	int i2c_fd;       		// デバイスファイル用ファイルディスクリプタ
	int i2cAddress = 0x68;	// MPU9150のI2Cアドレス
	int i,regH,regL,out_x,adj,backup = 0,inp,dis = 0;
	float data,acc,spd;

	// I2Cデバイスファイルをオープン
	i2c_fd = wiringPiI2CSetup(i2cAddress);

	// MPU9150 イニシャライズ
	if((wiringPiI2CWriteReg8(i2c_fd,0x6b,0x00))<0){
		printf("write error register 0x6b");
	}
	printf("write register:0x6b0 = 0x00\n");

	//引数の取得
	inp = atoi(argv[1]);

	// WiringPi イニシャライズ
	if(wiringPiSetupGpio() == -1) return;

	// モーター停止
	digitalWrite(MOTOR1, 0);
	digitalWrite(MOTOR2, 0);
	digitalWrite(MOTOR3, 0);
	digitalWrite(MOTOR4, 0);

	// 補正値を計測
	for(i=0; i<20; i++){
		// デバイスからデータ取得
		// read L reg
		regL = wiringPiI2CReadReg8(i2c_fd,0x3c);
		// read H reg
		regH = wiringPiI2CReadReg8(i2c_fd,0x3b);
		out_x = (regH<<24|regL<<16)>>16;

		// 取得したデータを表示
		//printf("i : %d  out_x : %d\n",i,out_x);
		adj = adj + out_x;
		usleep(10000);		//10ms
	}
	adj = adj / 20;			// 平均化し補正値とする
	printf("補正値 : %d\n",adj);
	sleep(1);

	// 前進
	digitalWrite(MOTOR2, 1);
	digitalWrite(MOTOR4, 1);

	// 加速度データを取得、表示
	for(i=0; i<10000; i++){
		// デバイスからデータ取得
		// read L reg
		regL = wiringPiI2CReadReg8(i2c_fd,0x3c);
		// read H reg
		regH = wiringPiI2CReadReg8(i2c_fd,0x3b);
		out_x = (regH<<24|regL<<16)>>16;

		// 取得したデータを表示
		//printf("i : %d  out_x : %d",i,out_x);

		// データを補正し加速度算出
		acc = out_x - adj;
		data = (acc / 16384) * 9.80665;	//加速度を算出
		spd += data * 0.5;				//速度を算出
		if(spd < 1){spd = 0;}
		dis += spd;						//距離を算出

		//printf("  加速度 : %.5f  速度 : %.3f  距離 : %d\n",data,spd,dis);

		//距離をチェックし、指定値に達していたら停止
		if (dis >= inp ){
			//ブレーキ
			digitalWrite(MOTOR1, 1);
			digitalWrite(MOTOR4, 1);
			digitalWrite(MOTOR2, 1);
			digitalWrite(MOTOR3, 1);
			usleep(100000);
			//停止
			digitalWrite(MOTOR1, 0);
			digitalWrite(MOTOR4, 0);
			digitalWrite(MOTOR2, 0);
			digitalWrite(MOTOR3, 0);
			return;
		}
		usleep(10000);		//10ms
	}

	return;
}

30センチの距離を数十回テストしましたが、全く安定しません。 毎回、2~3センチのズレが生じ、当然のことながら距離が長くなれば、誤差も大きくなっていきます。

パラメータや算出方法を変えて行ってみましたが、信頼できる結果は得られませんでした。 残念です。

フォトリフレクタを使用した、車輪の回転数による距離計測を使用すべきだと実感した実験結果となりました。

 

 

ジャイロセンサーの測定プロセスを優先する

ジャイロセンサーを使った旋回制御動作の際、指定した回転角より多く回転する動きを見せることがあります。 ドリフトや振動などの影響もありますが、他のプロセスと協調動作を行う関係上、ある程度はしかたがないことと考えていました。 そんな折、このような情報(?)を目にしました。

Linux リアルタイムカーネルを使いたかった – TK’s HP

桜とハウスローバー

桜とハウスローバー

リアルタイム性は、ハードウェアにより近いシステム、例えばarduinoのようなものでなければ難しいと思っていましたが、リアルタイムカーネルで実現可能なことを知ったのです。

さらに調べていくと、下記サイトに重要な事が…

プログラムを実行する優先度を変更 – Linuxコマンド

プログラムを実行する時に優先度を指示できるコマンドがあったのです。 それはnice(!)

ジャイロセンサーを使う」の旋回用プログラムをniceコマンドで実行してみます。 nice値は最優先の-20です。

nice -n -20 sudo ./gyro_turn11 r 90

すごい!素晴らしい! 全くと言えるほどズレがなく、何度実行しても再現性抜群です。

今後の開発にも非常に有効な情報であったと思うと同時に、知らなかったことの怖さも実感したのでした。

 

Raspberry Pi 2 の誘惑

省電力を必要としているハウスローバーでは、本来、modelA+やB+への切り替えが良いのでしょうが、高性能への誘惑を断ち切れず、RasPi2にしてしまいました。 (Amazonの「当日お急ぎ便カウントダウンタイマー」も衝動に拍車をかけましたが…)

RasPi2

RasPi2と40P-26Pケーブル

40P-26Pダウングレードケーブルも同時購入しましたので、なんの変更もなく差し替えるだけです。

また、ソフトウェアも最新のRaspbianを使用しているので、そのまま動くはず…でした。

ところが、起動はするものの、パン・チルトが動作しません。 ServoBlasterに問題があるようです。

よくよく調べてみるとフォーラムに情報がありました。

http://www.raspberrypi.org/forums/viewtopic.php?f=28&t=99115&start=25

一部のメモリマッピングに変更があるようです。 上記ページの最下部に修正ファイルがアップされています。 (ServoBlaster-20150219.tgz)

このファイルを適当なフォルダへ解凍しmake installを実行。 無事、ServoBrasterも従来通り動作するようになりました。

さて、RasPi2の使用感ですが、ストリーミングの遅延が減少し、操作時の反応が早くなった? ような気がします。 (^^ゞ

気になる消費電力ですが、modelBからの切り替えですので確実に改善しています。 モジュール単体の実測値では、modelB:370mA  Pi2:260mA との結果です。(低負荷時)

topコマンドで確認すると、4つのコアがそこそこ使用されていることが確認できます。

top

現状では、これといって大きく改善したというほどではありませんが、処理速度の問題で見送っていた項目、例えばmotionによる画像認識処理などの選択の幅が広がったという面では、意味のある切り替えだと思います。